自身を持ってお勧めできるPNF

リハビリと聞いて、皆さんはどんなことを思い浮かべますか?

病気や怪我に対してマッサージをしたり、筋トレをするところ?

介助が必要な対象者と歩行訓練をするところ?

 

こういったイメージでしょうか。確かに上記の内容を含むリハビリテーションがどこの施設でも日常的に行われていることと思います。

病院や介護施設には健康保険または介護保険を利用したリハビリテーションが行われており、病気や怪我で身体機能の回復を目指す人にとって非常に重要なことです。

 

私は理学療法士という国家資格を持っていますが、国内には約20万人の理学療法士が登録されています。

私が理学療法士免許を取得したのは2010年のことですが、当時の私は国家資格=リハビリのプロフェッショナルという考え方でした(今思えば非常に傲慢な考え方です…)。

そのため、たとえば知人が「腰が痛いから治し方を教えて」と頼ってくれたら、持っている知識で「こうすると良いよ」と得意げにアドバイスを送ったりしました。

しかし理学療法士としての経験を重ねる中で「この患者さんは腰が痛いからこうすれば治るはず」といった思い込みが全く通用しない。そんな大きな壁とぶつかる日が多くなってきたのです。後から考えると、私は症状に対する一般的な知識ばかりを患者さんに提供し、「その人自身」を理解することを怠っていたように思います。その人の癖、生活、職業、趣味、考え方なども全てひっくるめて考えていくことが、本当の意味でリハビリなのだということは、もう少し時間が経って気づいたことでした。

当時の自分の知識の浅さ、思い込みによる傲慢さを思い出すと非常に恥ずかしいですし、当時担当していた患者様にご迷惑をお掛けしてしまいました。

 

患者さんともっと向き合わなければと思った私は、周りの理学療法士と同じように休日を使って遠方で行われるセミナーに参加するなどして知識や技術を学びました。理学療法士としての知見を増やすことは忙しくも楽しい日々でした。そしてそれを翌日からの業務で患者さんに還元する。そんな日々を過ごしました。

痛みを取り除くことができると患者様は喜んでくれますし、私自身も理学療法士としてのレベルが上がっているような感覚でした。次の日に同じ患者さんのリハビリの時間。「痛みはどうですか?」と尋ねると「また同じところが痛いんだよね」と。

「では昨日より長い時間をかけてほぐしてみましょうか」「お願いします」また次の日。「痛みはどうですか?」「あまり変わらないかな」

 

こんな日々が続くわけです。その場の痛みの解決ができても翌日には元に戻っている。今思えば私が毎日やっていたことは、患者さんに寄り添ったものとは言えず非常に自分本位で、本当の意味での治療ではなかったのです。

 

つまり何が言いたいか。それは「理学療法士=リハビリのプロ」と考えるのは危険だということです。仮に私自身が患者さん、もしくは患者さんの家族だったら当時の私にはリハビリを担当してほしいと思わなかったかもしれません。なぜなら、毎日同じことをして、前に進まないからです。

もちろん世の中には素晴らしいセラピストがたくさん居ますが、過去の私のように資格や技術を持っているからといってそれを活かしきれていないセラピストも非常に多いのが事実ではないかと感じています。

 

 

このままではまずいと思った当時の私は、もっと良いセラピストになるためにPNFを学び始めました。何か得意な事を手に入れたい。最初はそんな考えからでした。

PNFはヒトの体の構造から運動までをより繊細に、セラピスト自身の振る舞い方や患者さんに触れる圧の強さや握り方などを細かく指導されます。治療の引き出しも増え、これまでの治療で上手くいかなかったこともPNFを学ぶことで解決できた部分がたくさんありました。それと同時に、これまで私が学んだ知識や技術を否定するものでは決してなく、むしろ学んできたことをこうやったら生かすことができるんだ!という驚きと喜びを与えてくれました。点と点で散在していた知識が、そこで初めて線になったような気がしました。PNFの研修ではインストラクター(研修の指導者)による実際の患者さんに対する治療デモンストレーションがあるのですが、インストラクターの治療を受けた患者さんは皆さんが笑顔で帰路につく姿が何より印象的でした。私はここで改めてPNFの可能性の偉大さを目の当たりにしました。インストラクターのように、目の前の患者さんのことを本気で考え、自ら汗をかきながら患者さんと一緒に頑張る姿は、今まで見てきたどの治療概念よりも衝撃的でした。それ以来、そんなインストラクターのようなセラピストになりたいという明確な目標に向かって現在も努力を続けています。

 

PNFは技術そのものの名称ではなく「リハビリの考え方」のことです。病気や症状に対してのアプローチはもちろん、その背景には「その人自身を診る」といった一人の人間としての優しさや温かさがあるように感じます。

同じような病態でも力や可動域は人によって全く違います。言葉の捉え方や感じ方、活動や生活様式ももちろん違います。PNFは決まりきった型に当てはめず、その人にとって最善の選択は何なのかを考え、アプローチします。

PNFを本格的に学び始めてからもうすぐ10年になりますが、学ぶたびに新しい発見があります。

 

美容師や料理人と同じように、理学療法士にも特色があります。私はPNFを通じてその特色を磨き、お客様一人ひとりの笑顔のために寄り添ってまいります。

 

 

 

病後や怪我後のリハビリ、スポーツ障害、腰痛、肩こりなど

その場しのぎではない、あなたの活動や生活に寄り添ったアプローチができるグルーヴ盛岡西。

 

ご自身のニーズに合わせた治療院の選択の参考になれば幸いです。